ふとん掃除比較!  レイコップ vs. ダイソン ②

吸引力と操作性をチェック

 検証には、社内の「First Aid」(保健室のようなもの)にあるベッドを使用した。まずはアレルゲンを含むゴミの取れ具合をチェックするため、敷き布団を中央で分け、片側をレイコップRS、もう片方をDC62で掃除する。方法は、レイコップの説明書に書かれている“10秒で1往復”を目安とし、中央から端まで掃除機をかけていく。同じ場所は1度しか掃除機をかけない。

ts_futon07.jpgts_futon08.jpg社内の「First Aid」。ちなみに救急用なので終電を逃しても寝ることはできない

 

 実際に動かしていると、両機の“手応え”はかなり違った。レイコップRSの場合、本体を持つとかなり重いが、一度ふとんの上に置いてしまえば、あとは“押して引く”を繰り返すだけ。ふとんに吸い付いてしまうこともなく、とても楽に動かせる。ただ、本体の幅は広いのに、吸引口とブラシの幅はその半分程度で、掃除できる範囲は外観から想像するよりも狭いことに注意したい。本体の先端部に「吸い込み幅ガイド」があり、底面の吸い込み口(幅約20センチ)の両端を示している。これを目安にすればいい。

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 ダイソンDC61は、薄い掛け布団の端なら一緒に持ち上げてしまうくらいの吸引力だが、今回は敷き布団なので手間はない。ただ、本体を保持しながら前後に動かすため、レイコップに比べれば力はいる。モーター音も大きく、隣の部屋に寝ている人がいたら使用をためらうかもしれない。

 一方、DC61はバッテリーを内蔵しているため、掃除中にコードを気にする必要がないのはありがたい。ベッド間や部屋間の移動がとても楽で、例えば寝室と子ども部屋を掃除してまわるといった作業が簡単に行える。レイコップRSは長めの電源コードが付いているため、ベッド間の移動はともかく、部屋間の移動ではキャニスター式と同様に“コードさばき”が求められる。しかもキャニスター式のようなコード巻き取り機能は持っておらず、収納時は手作業でまとめてマジックテープで固定する仕様だ。

 さて、実際に掃除機をかけ、とれたゴミが下記の写真だ。一目でDC61のほうが多いことが分かるが、ゴミの色にも注目してほしい。レイコップでは白っぽい繊維質のゴミがメインだが、DC61ではそれに加えて黒っぽいゴミや粉状の塵がとれている。

ts_futon012.jpgts_futon011.jpgレイコップRS(左)と「DC61」のダストボックス

 

ts_futon013.jpgハケを使って丁寧に取り出す

 

ts_futon014.jpgts_futon015.jpg少し寄って撮影。レイコップでは白っぽい繊維質のゴミがメインだが、DC61ではそれに加えて黒っぽいゴミや粉状の塵がとれている

 

 DC61の吸込仕事率はレイコップRSの半分に満たないにも関わらず、より多くゴミが取れたのはなぜだろう。吸込仕事率の数値はノズル部分を含めない状態で計測するもので、必ずしも実使用環境の掃除能力を示しているとはいえない。実際に横並び比較を行ってみて、改めて実感した次第だ。

次に、場所を入れ替えて掃除する。競合機種が取り残したゴミを取るという意地悪な実験だが、これは検証の公平性を担保する意味もある。同じふとんでも、もともと場所によってゴミの量に違いがあったのでは? という疑問も当然出てくるからだ。

ts_futon017.jpgts_futon016.jpg場所を入れ替えて掃除(左)。やっぱり取れた(右)

 

 結果は写真の通り。1回目にレイコップRSで掃除した場所からDC61はけっこうな量のゴミをとった。しかも黒っぽい色をしているため、やはりDC61は“レイコップRSが取れないゴミもとれる”ことは間違いなさそうだ。一方のレイコップRSも少量ながらゴミをとることはできたが、やはり白い繊維質のゴミが中心だった。

一往復で吸引力をチェック

 ここまで取れるゴミの量が違うと、実際にどんな風に吸い込んでいるかを見たくなる。そこでハウスダストを模した重曹の粉をふとんの上に丸くまき、その上にシーツをかぶせて上から掃除機を1往復だけかけてみた。吸引力が強ければ、しっかりとラインが描かれるはず。今回はレイコップLITEにも参戦してもらう。

ts_futon018.jpgts_futon019.jpg重曹の粉をふとんの上に丸くまき、その上にシーツをかぶせて上から掃除機を1往復

 

 掃除機を動かし、慎重にシーツをめくった結果が下の写真だ。左からDC61、レイコップRS、レイコップLITE。ヘッドが通過した部分の輪郭がもっともキレイに残ったのはDC61で、レイコップRSは少し輪郭が不鮮明ではあるものの、同じくキレイな線になっている。

ts_futon020.jpg左からDC61、レイコップRS、レイコップLITEが一往復した後

 

 一方のレイコップLITEは、掃除機を動かした後が分かりにくい。もちろんダストカップを見れば重曹をたくさん吸い込んでいるのは分かるのだが、きれいな輪郭は残せなかった。

 要因の1つはフィルター詰まりかもしれない。レイコップは、ダイソンのサイクロンのようなフィルターの前でゴミを分離する機能は持っていないため、ダストボックス部のフィルターが目詰まりしてしまうと、空気の通り道が塞がれて吸引力が下がる。実際にフィルターを見てみると、確かに白い粉がまんべんなく付いていた。

ts_futon021.jpgts_futon022.jpgダストカップの様子

 

 もちろん普通の掃除なら1回で目詰まりを起こすほどのゴミがとれるケースは希だが、例えばダストカップやフィルターのゴミをあまり処理しない人もいる。メンテナンスをサボると、吸引力の下がった状態で使い続けているといったことになりかねないということだ。とくにレイコップはダストカップごと水洗いできる仕様になっているので、こまめに洗いたい。

まとめ

 ふとん専用クリーナーをうたうレイコップは、掃除中の操作性の良さが際立った。ふとんに吸い付かず、適度な重量で女性の力でもスムーズに動かすことができるのはありがたい。ただ、そうした操作性を軸にバランスをとった結果、吸引力ではダイソンDC61の後塵を拝す結果になった。日頃のふとん掃除には便利だが、例えばアレルギー症状に悩まされているご家庭にどちらをオススメするかといえば、多少ふとんに吸い付いても多くのゴミがとれる方だ。

 また、レイコップは掃除方法にも少し疑問が残る。例えば底面にある紫外線ランプ。殺菌紫外線と呼ばれるUV-C自体は、業務用殺菌灯などにも幅広く使われている効果の高いものだ。しかし、低い照度で殺菌率を上げるには、ある程度の時間が必要になるのが普通だ(殺菌線量=殺菌線照度×照射時間)。説明書にある「10秒で1往復」という掃除方法では1カ所にUV-Cが当たる時間はごくわずか。除菌効果を本当に活かせているのだろうか。そもそも、UVランプ出力8ワットの「RS-300」と同6ワットの「RE-100」の使用方法が同じでいいのか? という疑問もわく。

ts_futon023.jpgレイコップRSのUVランプ

 

 一方のダイソンDC61は、やはり汎用ハンディー掃除機という点でハンデはあった。ふとんに吸い付くことや駆動時の音の大きさは、使う人の工夫でクリアするしかない。ふとんを手で押さえたり、ふとん掃除は昼間に行うといった配慮は必要だろう。他方、コードレスの手軽さは、ふとん掃除でもかなり有効で、さらにツール(ヘッド部分のこと)を交換すれば、さまざまな場所を掃除できる。ハンデは同時にメリットにもなっている。

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  レイコップRS レイコップLITE ダイソンDC61
本体重量 ×
操作性
吸引力
静粛性 ×
汎用性 × ×